日本財団 図書館


 

るものではございませんが、私の勤めております大学は北陸大学と申しまして、金沢にございます。一つの田舎の私学に行政学がどのような形で教えられているのかといったようなお話を簡単にご紹介させていただきたいというふうに考えております。
まず、これは私の出身校についてですが、全体的にこの行政学教育というものはここ数年で非常に拡充・強化されてきているなという印象があります。私は慶応大学でしたが、学部におりました1O年ほど前ですけれども、当時は、これは慶応に特有であったのだろうと思いますが、行政学関連の科目というのはほとんどなかったわけでして、行政学という科目は片隅に追いやられているような状況であったように記憶しております。しかしながらここ数年、行政学関連の科目というのが非常に充実・強化されてきておりまして、現在の段階で、行政学関連の半期の科目が都合10科目ぐらい2年生、3年生に用意されているようです。そのうちのいくつかを払お手伝いをさせていただいておりますが、そのようにここ数年の間に行政学関連の科目というのが非常に重視されてきておりまして、政治学科の中でもメインステージを占めるようになってきているのかなというような印象を今もっております。また私の勤めております北陸大学におきましても、これは非常に新しい学部でして、まだスタートしてから5年目ですけれども、当初のカリキュラムから行政学関連の科目というのは私どもの大学の規模にしては比較的たくさん、多様に用意・準備がされているというふうに考えております。
このように行政学関連の科目が大学におきまして、特に法学部の政治学科におきまして多様に置かれるようになってきた背景をひとつ考えてみますと、一つには実務上の要請というのが大きいかなと思います。特にここ数年、就職に関して公務員志望者が非常にふえてきているかと思います。これは慶応大学の先生に伺いましても実感としてそれはあると、また数字の上でも非常に希望者がふえているということですし、また私の勤めている地方の大学になりますと、地方公務員というのは就職先としてはナンバーワンになるわけでして、私どもの大学では一番優秀な子は県庁あるいは金沢市役所を目指すというような形になっております。そのように地方公務員志望、特に地方の大学におきましては公務員志望者が増大ということが行政学関連の科目をふやすように要請しているというふうに考えます。実は、これは皆さん方当然ご承知のとおりと思いますけれども、公務員志望者にとりましては実際問題として行政学という科目それ自体はあまり重要ではありませんで、実際は公務員試験を受ける際には法律科目が中心になるわけですけれども、どうも公務員対策ということになりますと、これは見かけ上どうしても行政学関連の科目というのは多様に

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION